おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

ざまあみろ 


おいらにゃ おっかあはいねえ。が、ちゃんはいるぞ。ほんとのちゃんじゃないけど優しいんだ。
ちゃんは拾われたおいらを貰って、おいらが赤ん坊の時から古紙買いの仕事しながら養ってくれている。
それからずうっと、ちゃんは日当からいつも団子を買ってきてくれ、疲れていても遊んでくれる。
そんなこんなで、おいら ちゃんが大好きなんだ。

ところが、その ちゃんの優しさにつけこんで家にやってくる女がいる。しょっちゅうやって来る。
目当ては金。ちゃんはヒョウタンに目鼻のくちで男前じゃないから、金目当てなのははっきりしているんだ。
そいつは出戻りで、いつもうどん粉の中に顔つっこんだみたいな真っ白な顔していて口も真っ赤。
そんな気色悪い女が体をくねくねさせながらやって来て、ちゃんに色目を使って金をまきあげる。
そんな事のあとは金が無いから親子そろって菜っ葉雑炊が続く .....
働くこともせずブラブラしてるあいつのせいで ・・・ おいらも、ちゃんも しょっちゅう腹ぺこ。
正月は長屋のおいちゃんおばちゃん達にオセチを御馳走になって助かったけど .......
くっそお おりゃ あの女、大嫌いダアアアアーッ! 仕返ししてやる。

       『ギャッ 何これ!? うっそお マジ? ギャアーーーッ』

遅がけに起きだした出戻りのおふさ、顔を洗うために家を出た途端に何かをモロに踏んづけたのだが
それはこの世のものとは思えぬほど大きく、モウモウと湯気のたっている立派なウンコなのであった。
見事なそれには黒豆の皮らしき物も混在している。さては正月に黒豆をたらふく喰ったヤツの仕業なのか?
しかし見渡してもあたりに人の気配は無く、路地に独り者の伝蔵が飼っている犬が寝そべっているのみ。
だが不思議なのはその犬、タロの口許が ニヤリと笑っているように見える事である ......
                         おふさ

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元旦の鶴 

 
                元日や鶴の声する車井戸  

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      一句1  
             みなさま あけましておめでとうございます
             ことしもよろしくおねがいいたします

  今年も鶴の鳴き声で目覚めたおせんです。いえ、ほんものの鶴じゃございません。

  車井戸のたてる音なんですヨ。車井戸というのは井戸の真上に滑車がついてます。

  それが水の入った釣瓶を上げる時、水の重みできしみますのでキリキリギシギシなどと

  音をたてるのですが、鶴田屋のは鶴の鳴き声に似てる、というわけなんですヨ。それが

  この寒いのに今回も明け六ツの鐘の音より前、暗いうちに聞こえたのですから恐れいります。

  あの家は元旦になると庭にある亀石の甲羅に若水をかけるのを毎年やっております。

  これは縁起かつぎというもので、ついでに正月訪れた客すべてに分け隔てなく御祝儀をくれる、
  
  などという太っ腹なこともなさってまして、ありがたいことだと思っております。

  ふわぁ〜 鶴の声で早起きしたけど、このまま二度寝の幸せを味わいたいと思います。ふふふ

    ア! 待てよ ・・・ 騒々しい奴らが押しかけてくるかもしれない......  ぶるぶるッ

    戸に突っかい棒しとかなくっちゃ

             つるかめつるかめ ・・・・・・
                              扇

                            
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