おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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先生の鼻の下 


薮中竜竹先生はさっきからアタシの片手を自分の頬に押し当てたまま、うっとりしてらっしゃいます。

  「 おぉ おお。すべすべひんやりして吸い付くような手じゃ うひうひ 」

波池様以外の男に握られるのは絶対にイヤと思い極めた我が手ですが、竜竹先生だけは例外なのです。
というのも、あかぎれに悩んでいたアタシに特製の薬を作って下さったのが先生だからでございます。
手を撫でたりさすったりも薬の効き目を確かめるための診療行為だとアタシは思ってるんですけど。
え!? ひょっとして違うのかしら?

先生が作って下さったのが水仕事についてまわる、ひび、しもやけ、あかぎれといったものから他にも
やけど、切り傷などに効くという塗り薬。
詳しいことは良く分りませんけれど、そこらで良く見かける紫蘭(シラン)の根っこを乾燥させたもの
を粉末にしてごま油で練ったものだとか。
おかげさまであかぎれは全快、使ったアタシはずいぶん助かった思いがしたものです。

きょうは竜竹先生にお願いしてその薬を一升ほど(タダで)貰って帰ろうかと思っております。
隣近所のおかみさん連中も手荒れにゃ悩まされておりますからお裾分けにと思いましてネ。

いつもアタシの手をニギニギナデナデするのが大好きな先生ですもの。
万が一にもイヤとはおっしゃらないでしょうヨ。
                       シラン
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コメント

はてさて

江戸の世に「せくはら」なる言葉はございませぬが、竜竹先生の真意は如何なりや? 一つ恩を売って、すべすべの手を触り放題と笑う、仁術からかけ離れた御仁でありましょうや? しかし、笑うは一人にあらず――げに恐ろしきは女子のしたたかさでございます。

seneka #NkOZRVVI | URL | 2012/12/01 21:38 * edit *

したたか道

したたかもまだまだ腕を上げねば吹き飛んでしまいかねない か弱い身。
いっときのせくはらなど どこ吹く風でしばしの我慢 ......
そんな女が去った後にはすっからかんになった男が抜け殻同然になって倒れております。

アタシなんぞのしたたかは可愛いもんですヨ senekaさん。

おせん #- | URL | 2012/12/02 13:52 * edit *

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