おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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色仕掛け 


碁が趣味の赤山老人、女房の許しをもらって友人の薮中竜竹宅へ泊まりがけで碁を打ちに行くことがある。
今回は女房が里帰り中だったので三泊もできたわけだが、上機嫌で家に帰ってみると泥棒に入られた跡があった。
寝間には行李がひっくり返り土間にまで着物が散乱し、なぜか障子にはズボズボと穴が空けられている。
慌てて三ケ所に分けておいた隠し金を確かめに走ったが盗られたのは二両。あと二ケ所の大金の方は無事だった
のでホッとしているところへ訪ねて来たのが、かねてから出入りの岡っ引きの矢七だったので好都合。

   「金が少ないってんで腹いせに障子を破ったか。先生、近ごろ変わったことはございませんでしたか」

   「う〜む、アッ! ワシが家を出た日にすぐそこの辻で女に会うたぞよ」

焦茶に鴬色のうねり縞の着物の襟をぐっと抜いた年増での、とてもこんな田舎にいるような女じゃなかった。
さすがに足もとは藁草履だったが冬というのに素足でしゃなりしゃなり ...... 尻なんかむっちりしててのぅ 

   「思わず後を追ったワシを、女が誘いこんだのがシコロ茶屋。で、ちょと色々 ムニャムニャ。。。
    で、次の朝に茶屋を出て竜竹の家に出向き三晩泊まって、帰ったらコレじゃ」

   「じゃ、四晩も外泊ですかい」

   「これ、女房にゃ内緒じゃぞ。三泊じゃ三泊!」

マ、それはいいとしてその年増女、金回りが良さそうな先生に前々から目をつけていたに違いねえ。
先生との寝物語で家が数日無人になるのを確かめて事に及んだんですぜ。そいつは好色で金を持ってそうな
年寄りばかりを狙って床に誘うのが手。それで相手が油断した隙に金を盗む枕探しのお竹に違いねえ。
あいつめ空き巣も始めたか ...... 獲物が少ないからって腹いせに障子を破るだなんてとんでもねえヤツだ。

そんな矢七の言葉も途中からは上の空の赤山老人、さっきから破れ障子をぼんやり眺めてニタニタとしまらない。
実は、障子を突き破ったと矢七が言ったその白くむっちりとした女の腕が自分の首に巻き付いた時の事を思いだ
していたわけだが、案の定 その口元からは涎(よだれ)が出かかっている。
                      ねこ
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