おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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ぐちょ濡れ 


身に着けている褌(ふんどし)を人知れずこっそり捨てる。
これは来年厄年にあたる男が大晦日の深夜ひっそり行うという江戸で一時期流行った厄除けの一つである。
ちなみに女の場合は腰巻を捨てるわけだが、今回は褌の話で腰巻は関係ない。

で、褌を捨てる話になるのだが、昨年の大晦日に参八は危うくこれをしくじりかけたのである。
捨てたのは猿江御材木蔵近くの田畑が延々と広がるあぜ道で、人ッ子一人いるはずもないところ。
時刻は夜四ツ(十時)にもなろうかといった時分で、月夜だが誰かに見られる心配もまったく無い、はずだった。

ここなら大丈夫と見極め、褌を捨て「しめしめしめこのウサギ」と歩きだした参八だったが、しばらくして自分の
背後に気配を感じ『すわ物の怪か』とおそるおそる振り向いたところ一匹の子犬がいただけだったので ホッ。
が、安心したのも束の間、その子犬はさっき捨てたばかりの自分の褌をくわえ引きずっているではないか!

褌をくわえた犬がどこまでもついてくるのなら厄除けは失敗、そればっかりは 堪忍しなのの善光寺 .....

焦った参八は子犬から褌を取り上げるとそれを固く丸めて縛りあげ、遠くへ放った。
ところがこれを喜んだのが子犬。
(まり:ボール)が転がるように駆けて行って丸まった褌を口にくわえて戻ってきた。
そしてまた投げてくれと言わんばかりに参八の周りをくるくる回ったりじゃれたりして矢の催促 ・・・

褌を投げ(捨て)ると子犬は大喜びで取ってくる、その遊びの繰り返しでへとへとになり閉口した参八だったがハッと
もうじき新年になってしまう 厄年がやってくると気づくや子犬を抱きかかえ、おせんの家へと猛走!!!
起きてきた寝ぼけまなこのおせんに事情を告げるのもアワワともどかしく、とにかく犬を押しつけるのに成功。
そして犬のヨダレでぐちょぐちょになった褌を締め、夜更けの町に褌の捨て場所求めて走り去って行った。

それで、ぎりぎりで厄除けできた参八だったが 風邪をひいて正月中は寝込んでしまったとの噂である。
                        柴犬 子犬
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コメント

子犬のその後

厄除けの方法に、そんなやり方がありましたか。うん、なんだかいかにも「厄」が落ちそうな方法ですね。
犬の方も、いかにも犬がしそうな話です。どういうわけか彼らは人間の直の臭いが大好きで、靴下やら靴やら勝手に持ってってはムフッ、ムフッしながら匂いを嗅いだり噛んだりしますからね。

ところで、子犬はその後どうなりましたか?出来れば、おせんさんに是非飼っていただきたいものです。わんこのその後も気になりますし、長屋の面々に犬が加わるのも良いと思うのです。

ところで、時代的には「綱吉」後でしたっけ、前でしたっけ(済みません、あんまり憶えてなくて)。
当に将軍綱吉様の御時世だと、色々面倒なのかも知れません。あまり無理なさらずに。

千鳥道行 #EBUSheBA | URL | 2013/01/05 19:09 * edit *

さすがに情の深い旦那でございます。
 > ところで、子犬はその後どうなりましたか?
もう書いちゃった(!)次回日誌あたりからワンちゃんの運は開けていくようですヨ。

 > ところで、時代的には「綱吉」後でしたっけ、前でしたっけ(
一応、綱吉時代から次の世あたりが根城のおせんですが、なにしろ時空狂いがち日誌ですから
テキトーってな感じで気軽にお読みくださいまし。

おせん #- | URL | 2013/01/06 00:10 * edit *

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