おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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ついたら怖い 


日は落ちたけれど西の空一面は真っ赤で、あたりはまだ薄明るく提灯はいらない、そんな時間帯のことです。
ももひき長屋から出たところの表通りで駕篭かき稼業の亀吉にばったり会ったのは。

きょうは早じまいだったという亀吉は相方の留助と一緒でこれから山鯨(猪肉など)を食べに行くのだとか。
それで三人で立ち話をしているところへ、女中を供の鶴田屋のお民さんが来かかり、

   「あ、おせんさん。また遊びに来てくださいな。けど、おせんさん....... 」

ちょっと肥えなすったんじゃぁ? と続けなさったのは、ずばり当たり!今のあたしゃ餅太りで身が重い。
それで「 ええ いつのまにか肉(しし)が付いちゃって」と返したんですが、それを聞きとがめた亀吉が

   「お、おせんさん ししがついたってほんとですかい」

   「そうさ、今度のは もの凄いのが付いてサ 体が重くってならない」

なぜか少しずつ後ずさりしていた亀吉留助のふたりにあたしゃそう言ってニヤリ笑ったんです。
するとすでに怯え顔だったふたり、ぶるぶるっと身震いするや互いにヒエーッ ゲーッと奇声をあげたあと
同時にクルリと向きを変え、アッというまに夕闇の町を雲を霞と走り去って行きました。

(しし)が付いたを猪(しし)が憑いたと、狐憑きかなんかと同じように思ったに違いありません。あいつら。

                猪 絵
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