おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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五文団子 

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てッ てえへんだあ〜 おとっつあん おっかさん運上だとよ 五文だとよお
よしず張りの吹けば飛ぶよな茶店に駆け込んだ杢三の大声に、裏手で湯を沸かしていた、これまた吹けば
飛ぶよなちっこい老婆が現れ『お前、野菜はもう売りきったのかい』と言うのにも構わず、杢三はさっき
聞き込んだばかりのお触れの内容を思いだしつつ、そっくりそのまま口にのぼせて

   「 江戸市中所々の道端に出せる よしず張りの茶見世、これ迄は運上にも及ばざりしが、
     この度 一々吟味して、一日五文宛の運上 納むるやう申渡す ....... だとよ おっかさん」

坂本村に住む杢三は兄の手伝いの百姓仕事をしつつ合間には穫れた作物を神田あたりで売りに廻っており、
老いた両親は雪や雨の日以外は湯島天神男坂近くに簡易な茶店を開き茶と団子を出しているのだ。

   「 御城の御老中様が田沼様から松平様に代わったと思ったら 一日五文差し出せか.... 」

   「 杢三、五文て言えばおらがとこの団子一皿分じゃが運上は銭じゃなく余った団子じゃいかんのか」

   「 おっかさん江戸にゃ茶店が二万八千軒はあるっちゅうから皆が団子を納めたら大変なことになる」

この運上金を納めることにより『灯をとぼすことを許す』という恩恵が与えられることになったようだが、
酒を出すような店ならいざ知らず、杢三の両親のやっているのは茶と田舎団子しかない茶店なのだ。
たとえ人通りが多くとも、そのような店に灯をともしたところで夜間に客など来るはずもないのである。
                   団子江戸踊り
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