おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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さぶい 

.  
鶴田屋に呼ばれ、その体を揉みあげることおよそ一刻あまり。
大満足の旦那をあとに外に出た徳の市の体を夜風がなぶってゆく。
揉み療治に全力を尽くした徳の市の身体は汗ばんでおり、風が心地よかった。
が、桜(はな)も咲き始めているというのに、この夜の風は冬のごとく冷たい。
そのうち身体が冷えきってしまった徳の市は、途中にある金沢町の湯屋で暖まってから帰ることにした。

さて湯屋に着いた徳の市は あとは極楽が待っている、とばかりに急いで素っ裸になった。
鶴田屋で貰った小判は盗られないよう下帯に包んで頭に乗せ、落ちないようにくくりつけている。
そして、いよいよざくろ口を入りつつ

  「アイ、冷えもん(者)でござい 」

と、冬場に入れ込み風呂に入る時お定まりの挨拶を うっかりしたところ、その後に続いた男が

  「ワシは奥州の彦左衛門でござる」

名乗ったところを見ると、どうも田舎から出て来られたお人らしい ...... と感じた徳の市だったが
時候の挨拶を交わしたこの二人、長湯が過ぎて真っ赤に茹であがるまで話し込むくらい、気が合った。

彦左衛門が江戸に滞在中のあいだ徳の市と『湯屋友だち』になったのは言うまでもない、のかもしれない。
                     湯屋で
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コメント

花見

 名乗りを挙げながら入っちゃうのって可愛いですね。(そういえば、トイレでノックをしたら「誰それ入っています」と返事をされたらどうだろうかと馬鹿話を友人とした事があります。さらに「ウソじゃないです、本当です」といってドアの隙間から名刺がニュッと出てきたりしたら)。

 ところで、長屋の皆さんは花見にもう行かれましたか。「長屋中、歯をくいしばる花見かな」などという川柳もありますが、おせんさんは懐が暖かそう。よもや茶碗酒に「酒柱」が立つという事もありますまい(笑)。
 もし行かれましたら、その時の話など伺いたいものです。

 では。タロちゃんに宜しく。

千鳥道行 #EBUSheBA | URL | 2013/03/27 07:03 * edit *

名刺!

「ウソじゃないです、本当です」といってドアの隙間から名刺がニュッと出てきたりしたら
ちょっと(どころではない)面白さ。でもちょっと、怖いかも。

長屋のメンバー揃っての花見はとても行かれそうにありません。
来年くらいは行きたいものです。
(ひとりでなら行くかもしれない ....)

おせん #- | URL | 2013/03/28 21:42 * edit *

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