おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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もし、偶然にも自分が豊臣秀頼や源義経の末裔だと知った場合、それを嫌がる人はいないだろう。
ま、人それぞれで、家康のほうが良かったとか藤堂高虎じゃないと……というのはあるかもしれないが。

伝蔵の場合も、この正月 (夢に)現れた女忍者に、自分が忍者の末裔であることを知らされた。
夢うつつに聞いたオノレの出自だったが、伝蔵はあっさりそれを信じた。
というのも、俺の爺様は「近江国(滋賀県)甲賀郡から江戸へ出てきた……」と言うていたもの、だからであった。

長屋裏の空き地の一画に、雑草から突き抜けるように九尺(約2.7m)を超える麻が十本ほど生えている。
これを眺めて太いため息をついた伝蔵、実はとっくの昔にこれを飛び越えるという日課を放棄している。
ま、並の人間に日ごとめざましく成長していく麻を飛び越え続けることなど、できるはずは無いのだ……

忍者は赤児(あかご)のうちから体づくりを施され幼児になると修行を始める、と講釈師が言うていた。
俺がこの歳で始めるのは遅かったんだろうなあ。。。
けれど、けれど、、今からでもモノになる術はきっとあるはず……

天下泰平のこの世に、術を習得して何に役立てるつもりか伝蔵。
もはや忍びの出番は無いし、あってもしかるべき筋(幕府とか大身大名)に何のツテもないというのに。

しばらくうっとりと夢でも見ているような目つきになっていた伝蔵、草薮を走りまわり穴を掘って遊んでいた
タロが丈高く育った一本の麻を軽々と飛び越えたのには気づかなかった。
初めの頃から伝蔵の麻草飛びに付き合ったタロだが、伝蔵が辞めたあとも練習を続けていたのだろうか…
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thread: 花の御江戸のこぼれ話 | janre: 小説・文学 |  trackback: -- | comment: 2 | edit

コメント

なにやら、伝蔵さん、少し物悲しい話です。
それとも、実現不可能でも夢があるという事は、当人満足で、幸せなんでしょうか。

という事とは全く別に、タロが軽々と麻を飛び越えているのは、楽しそうです。現在しかない動物であるタロは、夢とは最初から関係なく、伝蔵さんといっしょなら楽しくてしょうがないのでしょう。

千鳥道行 #EBUSheBA | URL | 2013/05/08 23:38 * edit *

現在しかない…

> 現在しかない動物であるタロ………

いいですね。
人間にも現在しかないはずなのに、考える力がありすぎて
先送りにしたり、躊躇したりしがちでそれは「かえって不幸なのかも」などと思えてきました。

誰にも「今しかない」のですよねえ……

おせん #- | URL | 2013/05/16 19:26 * edit *

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