おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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玉の緒 

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江戸町一丁目から二丁目までひっくるめて随一と評判の大上総屋の笹尾太夫に呼ばれた参八。
期待に胸ときめかせ駆けつければ、何のことはない、客がらみの相談事だったのでがっかり。
笹尾太夫ほどともなれば一晩に何人もの客が順番待ちとなるのだが、そこでおとなしく待つのが『通』
暴れたり喚いたりなどすれば、たちまち界隈中に知れ渡り、笑い者にされることになるのです。

   「で、これを見ておくんなんし」

笹尾太夫が指差す行灯(あんどん)には墨痕鮮やかなれど、かなりの金釘流で
    
    今来むと 言ひしばかりに ひとり酒 有明の月も 待てど待ちきれず と、書きなぐってあった。

それを読んで参八。オ!自分じゃ作れねえから 百人一首から取ったか!とにやにや。
この元歌は『今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待てど待ちいでつるかな』だったっけ?
ところで太夫、アチシは何をどうしたらいいんでげしょ。
えっコレ書いて帰っちまった短気な客に返歌してくれって!? 実はアチシ歌は苦手なんざんす。。。
けど、大事な客への義理立てならしょうがない、けど困ったな。
ムムム 百人一首には百人一首でいくか ・・・ウ〜ン でけたッ!

    玉の緒よ 絶えなば絶えね このままじゃ ヌシを思うて 弱りもぞする  なんどは、どでごんす

イヒ おわかりでしょうけど『玉の緒よ 絶えなば絶えね 永らえば 忍ぶる事の 弱りもぞする』が元でやんす。
(玉の緒)絶えてもなんて大げさとも思いましたが太夫にお褒めにあずかるとは望外の喜び .....

こうして玉の緒で笹尾太夫に喜ばれた参八だったが、その頃ももひき長屋のおせんも借りた川柳本を開き
偶然にも同じ玉の緒に『腹の皮がよじれそう』と、足をバタバタ裾を乱して大喜びしていたのであった。

    玉の緒よ たえなばたえね 鰒(河豚:ふぐ) が好き
                         落款
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 玉の緒で格調高く始まり、フグが好きでギョギョッ、そうくるか....
 つい大笑いしちゃったのはホントです。。。
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