おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
trackback: -- | comment: -- | edit

せがれの嫁 


アタシが井戸端で里芋を洗っているところへ、つんのめりそうになりながら駆けつけた参八

   「ア、アデサン! い いや違った姐さんだ! 出っ出たんですよお」
   「何がだい!? 何が出たのサ」

血相変えたその形相のあまりのもの凄さに、てっきり狐狸妖怪のたぐいが出たのかと思えば

   「あの、美艶仙女香(ビエンセンニョコウ)って白粉が売り出されたんですがネ
    それが飛ぶように売れてるって・・・ウググ ムグゥ。。。」

売れてる白粉と聞いてついつい我を忘れ、なんだってェ、と参八の襟首引っ掴んだものですから
奴め、失神しかかりました。そこで慌ててホッペタ叩いて問いただしたところ、その白粉は
時は今、文化四年(1807)京橋南伝馬の坂本某が売り出したもので、商品名は人気女形の
瀬川菊之丞の俳号「仙女」にあやかったものだとか。
それを使えば、嘘かホントか!? 十も二十も若く見えるらしいとは聞き捨てならない。

色浅黒く肌きめ細やか、なるたけ薄化粧が江戸の女のいいところなんだと常々思っていたアタシ。
それが売りなんだから化粧でどうこうだなんて、と思っていたはずなのについつい色気が出て
誰かアタシの知ってる人でソレを使ってる人がいるのかい?と問うたところ

   「ヘ、川内屋のお宇多様がこの白粉を使ったら『セガレの嫁に間違われたよお』と
    たいそう喜んでおられたそうで」

参八、川内屋のお宇多さんといえば数えで九十、せがれなんて七十二じゃないか。。。。


                       
                         千鳥 青緑 千鳥 青緑 千鳥 青緑

                                                  にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ                                       
trackback: -- | comment: 0 | edit

コメント

コメントの投稿

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。