おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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ふんどしエレジー 


久しぶりに髪を洗いたいと井戸の空いた時を狙って洗髪にかかり、首尾よく洗い終えた
ところにこれまたお久しぶりの参八が現れました。

   「あれれ? 姐さんこの前洗ったばかりじゃ!??」
   「そうだねえ。この前が十日ほど前。チト洗いすぎかもしれないネ」

でもネ、「十日に一回で洗いすぎ!?」なんて驚いちゃいけませんヨ。アタシたちの場合
腰まであるような長い髪を結ってたせいで、こまめに洗うことが無かったので。
それが証拠に、うどん粉や米ぬかなど使ってひと月に一、二度洗うのが世間の相場。
マ、人にもよるでしょうし菊乃さんみたいな芸者サンとか玄人筋の人の場合は髪を洗う
回数が多いように聞いておりますけど。ところで参八いったい何の用なんだ?

   「実は姐さん、また出たんですよお」
   「アラ ヤダ。『せがれの嫁』に『毒きゅうり』とよく出る男だねえ。今度はいったい何なのサ 」
   「ゆ・き・だ・お・れ、でげす。男が行き倒れ。」

なんでも参八が最初に見つけたのだそうで、可哀想にすでに息はなかったのだとか......
泡を食った参八が番屋に届けたまでは上首尾だったのですが、倒れていた男が褌(ふんどし)
付けていなかったがために

   「アタシが殺(あや)めて盗んだんじゃないかって......」

疑われた参八は番屋まで引っぱられ、御番所からお役人が出張ってくる騒ぎになったとか。
ま、師匠に破門同然の身とはいえ身元はしっかりしてるし行き倒れの男の死因も病気が原因
だとわかったので無罪放免となったということです。良かったねぇ。

   「それにアタシの持ち物は財布と扇子一本だけ。
    そのうえ、締めてた褌はひとつだけだった、それが良かった。イヒヒ」
   「でも身に付けてるソレがホントにお前のナニだと、何で分ってもらえたのサ?」
   「イッヒッヒ 実は惚れた女の名を刺(刺繍)してましてね、褌に。それで助かりやした。
    モチ、アタシの名とくっつけて刺してるんで! 家にあるのもゼ〜ンブがそう。
    姐さん見たい? 見たい?? なら見したげます ほれ ほれ イッヒッヒ〜 」
   「ウギャーそんなの見たかないよッ。てっ てめえなんか おととい来やがれッ 」
                        犬
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