おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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鬼女 


お熊さんがにじり寄ってきて

「おせんさん、出たらしいね。あんた知ってたかい?」

グイッと顔を近づけ声をひそめた。
お熊さんはこの長屋が出来た頃から住んでいる人で長屋のことなら何でも知っている、という噂だ。
悪い人ではないけれど、誰彼となくとっつかまえ、相手の思惑や都合などおかまいなしにしゃべり
まくるから煙たがられている面もある。

「え?お熊さん、いったい何が出たんですヨ?」
「それがサ、鬼。鬼が出たんだよぉ」

ゆんべ遅くに伝蔵が酔っぱらって帰ってきたら、あんた、波池先生の家の前に白いものがボンヤリだヨ
ボ〜ンヤリと見えたんだってサ。
それで伝蔵は気になって自分ちに入りしなにチラと見たら、その白いのが急にこちらを向いて・・・
それがザンバラ髪の鬼女だったんだって云うんだから。怖いねぇ、くわばらくわばら・・・
            鬼女おせん
お熊婆さんの話しはそんなようなことだった。
ゆんべは旦那と楽しく御酒をいただいていたのに妙な女客が現れてあたしの思惑は大外れに外れちまった。
あたしゃ大むくれで家に帰り、茶碗二つ壁に投げつけてこっぱみじんに割ってやったんだ。
けど気は晴れないし、中々寝つけないものだから寝間着姿に解いた髪そのままの格好で旦那の家の中の
様子をうかがっていたのを伝蔵が見たんだろうヨ。

え!? それって鬼女より怖いってかい!? ふん。

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thread: 花の御江戸のこぼれ話 | janre: 小説・文学 |  trackback: -- | comment: 2 | edit

コメント

あぁ、また伝蔵さん、腰を抜かして(笑)。
里芋の煮っ転がしぐらいは、おっそわけしてやってください。

千鳥道行 #- | URL | 2012/10/24 20:58 * edit *

煮っころがし

伝蔵にはまだまだ働いて(?)もらうつもり ......
で、里芋くらいでは済まなくなりそうな雲行き。
いずれ追々と、アップの予定でございます。

おせん #- | URL | 2012/10/27 10:32 * edit *

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