おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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にわか孝行 


江戸では中堅どころの米問屋である千寿屋の息子がどうにもならない怠け者だというのは既に知れ渡っている。
日がな一日黄表紙を読んでいたかと思うと、次の日は町に出て女の尻を追って日が暮れるといったあんばいで、
そんな息子が稼業の手伝いなどするはずもない。

見かねた縁戚の長老が、かの息子を呼びつけて

   「お前は四十にもなって親に不孝するとは何事だ。
    もろこし(唐土:中国)の老来子が子どもの小袖を着て戯れたのが七十才の頃。
    なんでだとは言わさぬ。
    年老いた親に子ども姿を見せ、親におのれはまだ若いのだと思わせたかったからじゃぞ」

さすがにその話をもっともなことだと思った息子は大島の綿入れをこしらえさせ、それを着るや大張り切りで
飛んだり跳ねたり、とんぼ返りしたりと親の前で大奮闘。すれば、おふくろ様は涙を流し

   「さてさて長生きすれば色々と悲しい目にあうものじゃ。こうなれば早くお迎えに来てもらいたい」

それを聞いた息子、ここぞとばかりにおふくろ様を励まし

   「お迎えを待つだなんて! こちらから下駄をつっかけて行くぐらいでなきゃ」


                でんでん太鼓
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