おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
trackback: -- | comment: -- | edit

田舎者の芝居見物 


ここは菓子商鶴田屋嘉兵衛の主人夫婦の居間。茶を飲んでいた嘉兵衛が女房に

   「伯父さんも きょうが生まれて初めて堺町での芝居見物。喜んでもらえるかのう」

   「ええ、そりゃもう。それにきょうのは勘三郎の曽我兄弟ですからお墨付きです。
    お供は芝居見物に慣れている手代の吾七ですし何の心配もございません」

   「あぁ曽我兄弟のヤツ、家宝の鎧(よろい)が無くなって一悶着というアレだな?」

   「ハイ、ほんに勘三郎は上手いし良い芝居でございましたねえ  ホホホ。」

そこへ手代の吾七と伯父が帰ってきたので、嘉兵衛が伯父に茶を勧め芝居の感想を尋ねてみると

 
                  笹
   「堺町で勘三郎を見るのは一生の自慢になると楽しみに行ってみれば
    いやはや悪い日にあたってしまい、芝居はほとんど見られずじまいでの」

   「え!? 悪いというとどのような?」

   「重代の逆沢潟(さかおもだか)の鎧が無くなったとかで、そこからが大変
    舞台の役者たちが右往左往、一日その騒ぎでござりました 」

   「 ・・・・・・ 」



 縁側にかしこまっている手代の吾七、顔をうつむけにしているがその肩と髷(まげ)が小刻みに震えている。


にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ                                      
thread: 時代小説 | janre: 小説・文学 |  trackback: -- | comment: 0 | edit

コメント

コメントの投稿

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。