おせんの江戸日誌

江戸と平成の世を行きつ戻りつの書き散らし

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浮気妾 


神田旅籠町にあるこの店は煮売家(にうりや)で、けっこう繁盛している。
煮売屋といっても他の店のようにおかずを売るのではなく客に酒や肴を出す居酒屋なので、まず普通の女つまり町家の
女房とか長屋のおかみさん連中などは近づかない。

その煮売屋に昼七つ(およそ十六時)頃に入って だらだらと酒を飲んでいた艶っぽい一人の女が、入ってきた客に
『 あれ お珍しい! 半ちゃんじゃないかえ 』と、ヒラヒラと手招きしたのが暮れ六つ(十九時)の頃。
それでふたりは差し向かいで飲み始めたわけだが女の前に座った半ちゃんこと半次、これがめっぽうイイ男。

  「お銀さん、囲い者になったと聞いたが、ますます女っぷりが上がったじゃないか。旦那が羨ましい」

  「けど、旦那はジジイで役立たず。お手当はたっぷりだけどつまんなくてサ。
   今度役者でも買ってやろうかと思っているのサ。
   半ちゃん、なんか面白い話ないのかい」

  「面白い話どころか こっちは十日までに二十両ないとならねえ事があるが五両でもあてがねえ。
   それで今も湯島天神の富くじを十四、五枚買ってきたところサ」

  「富くじか ・・・ 一千両当たれば役者が何人買えるだろ ウフフ ウフウフ

そこで、何事か思いついたらしい半次。
お銀の隣に場所替えし、とろりとした目つきになっているお銀の耳に何事か囁き始めた。
そして当のお銀はといえば、いつのまにか半次の手を撫ではじめている。
                          酒セット 踊る男
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